先日、釣りビジョンの番組で見た'12 イグジストと'15 イグジストのひっぱりあいっこでのドラグの説明。
強い設定の'15 イグジストのATDと弱い設定の'12 イグジストのUTDのひっぱりあいっこで、ガッと引くと'12 イグジストの方がラインが沢山出るものの、ゆっくり引くと'15 イグジストの方がラインが出るというやつ。
最初に見たときは、'15 イグジストのATD凄い!
と思ったんですが、よくよく考えてみると・・・
えっ?それっていいの?と思えてしまいました。
簡単に考えるとスティックのない滑らかなドラグの様に思えるんですが、それならガッと引っ張った時にもそれなりに出ないとおかしい。
あの番組ではドラグは同じ強さではなく、'15 イグジストの方が強いのに、ゆっくり引くとジリジリと'12 イグジストではなく'15 イグジストの方からラインが出ていた
初動の良い滑らかなドラグという説明だったものの
それは強い設定ではなく、ガッと引いたときには出ないだけの事実上弱い設定なのでは?
と思えたのです。
・・・意味が分かりますでしょうか?
良いドラグの定義とは何かということになりますが
どんな引き速度であれ、一定のテンションが掛かればそれなりに出るというのが良いドラグだと思います。
強く速く引くと出ないのに、ジリジリとゆっくり引くと出るのはどうなんでしょう?
それに、あんなにゆっくり泳ぐ魚は居ないような気もします。
掛けられているのに気付いてない、ただ浮かんでいるだけのスナメリ君とかなら分かりますが・・・
そこで、自分なりにいろいろいと設定しながら、納得いくまでひっぱりあいっこをしてみようと思いました。
・ガッと引いたときに出る量を合わせてのひっぱりあいっこ
・ゆっくり引いたときに出る量を合わせてのひっぱりあいっこ
・それぞれの設定でのいろんな速度でのひっぱりあいっこ
・魚の引きっぽいひっぱりあいっこ
とりあえずこの辺を考えながら適当に何度かやってみたので、その結果を書いてみたいと思います
※読まれる方への注意
しっかりとした計器での確認ではなく、あの番組でやっていたのと同じく人の手による比較になります。
各リールの個体差もあるかもしれませんし、型番違いでのドラグの差や、使用、未使用、使用期間でも変わってくるかもしれません。
個人の手持ちのリールを個人がひっぱりあいっこしてみたらこうなったということです。
動画じゃないので分かりづらいとは思いますが、その辺を考慮しつつ軽い気持ちで読んで貰えればと思います
・・・
私も'12 イグジストを持ってはいましたが、シーバス用にはレバーブレーキ付きの方が良いと思ったのでトーナメントISOを選んで手放してしまいました。
持っていたのもサイズ違いですし、ドラグ力も違っていたので
今回比較するのはシマノのフラッグシップモデル、「'14 STELLA C2500HGS」になります。
スプール径が小さいものの糸巻き量は2500Sと同じで、ドラグ力は
・実用ドラグ力:2.5kg
・最大ドラグ力:4kg
となります
ダイワのフラッグシップモデル、「'15 EXIST 2505F-H」のドラグ力は
・最大ドラグ力:3kg
となります
ドラグ力は違いますが、どちらもフロロ5LBを100m巻けるリールになるので、そのクラスのラインを上手く使う場合のドラグ設定あたりで確認してみます。
まずは、両方のリールのラインを結びます。
番組のように硬いリングでも良かったんですが、今回はロッドにフックキーパーを付けるときに使うゴムリングが目に付いたのでそれを使ってみました。
この状態で、ドラグをそれなりに締め込みます。
ラインテンションを考慮しない弱いドラグ力で確認しても、あまり意味が無いと思ったからです。
その状態で、まずはガッと引いたときに出る量を同じに設定してみました。
この調整ですが、ステラの方は数クリックで大体決まったものの、イグジストの方はクリック数が多いのと、結構決めるのに手間取りました。
ガッと引いて同じ位に出る様になったところで、ガッと引いたりガーッと引いたりしてみたところ・・・
ガッと引いたときには合っていたのに、ガーッと引いたときにはこんな状態になりました。
本当はもっと引き出すまでやっているんですが、両方のリールが見える状態までで止めた時のものを撮影しています
比率は変わりません
ガッっと単体で引くとどちらも同じなのに、ガッガーッと引くと、ステラの方が滑らかにラインが出るのが分かりました。
この状態で、ガッガッガッ・・・と短くガッっと引くのを繰り返すと、ほぼ同じ状態かイグジストの方が出し渋るという感じです。
しかし、早めにガーッと引くと、ステラの方が出るという感じだったりもします。
素早く、そして強めに引き出そうとすると、このATDはより強い設定っぽくなってしまうようです。
その同じ設定のまま、番組でもやっていたようなジリジリっとゆっくり引いてみると・・・
今度はイグジストの方からどんどんラインが出ていきます。
なんと、こんな状態に。
ステラの方はほとんどラインが出ていません。
ただこれ、初動が悪くてラインが出ないという訳ではなく、出なくて良い状況なので出ないという感じです。
そんな状態でラインを巻き取り、また同じ設定のままそれなりな速度で引いてみると、今度はステラの方からラインが出ました。
いろいろやってみたところ、ATDはジリジリとゆっくり引くと出るけど素早く引くと出にくいという感じです。
逆にステラは、早く引いても普通に引いても出るべき所ではちゃんと出て出なくていい所では出ないといった感じ。
続いては、ジリジリとゆっくり引いたときに同じだけ出る様に設定してみました。
イグジストの方は、かなり強めな設定になりました。
その設定で、ガッと引いたりガーッと引いたりしたときには、ATDはやはり強すぎるといった感じになりました。
正直、強めのフッキングをしたりファーストランが強い魚の場合、このままではどうだろう?という感じです。
しかし、そう思ってドラグを調整すると、今度はジリジリ引かれるときに無駄に?出てしまうようになります。
これだけ差があるとどちらに合わせて調整するのか悩みますが、やはりジリジリと出るときに合わせるのではなくフッキング時やファーストランに合わせて調整する方がいいと思います。
今回は魚を掛けての検証でもないですし、ただ魚はこんな感じに引くなと思いながらひっぱりあいっこしただけではありますが
そこに疑問を持つと、ダイワの人がやっていることや動画の中でやっていた電動リールで引き出す検証なんかも・・・ということになるのではないでしょうか。
ステラのドラグも時々頑張りすぎるということもありますが、今回のひっぱりあいっこではそれ以上にイグジストの方が簡単に出過ぎという感じで、ATDは無理に頑張る部分と頑張らない部分の差が激しいと感じました。
これはATDでもフィネスの方だからなのかもしれません。
この機種より上のサイズはフィネスではないATDになっているので、動作にも違いがあるのかもしれません。
別の番組で'15 ソルティガのATDと'10 ソルティガのUTDでの比較場面がありましたが、あれは見ていて素晴らしいと思いました。
どんなドラグが好みかによるとは思いますが、ファーストランやファイトのあと、魚が疲れているときにもそれなりにラインを出したいという場面ではイグジストが良いのかもしれません。
必要な場面では的確にラインを出し、余計な場面ではラインは出したくないというのであればステラの方が良いと思います。
また、ダイワの人も動画の中で言っていましたが、ストラクチャー周りで使う場合は、'15 イグジストのATDよりも、'12 イグジストのUTDの方が良いのかもしれません。
当然これはドラグに触らない場合の例ですので、頻繁にドラグを調整すればどうにでもなるかと思います。
書いていないこともいろいろとやってみての個人的な感想ですが
ドラグを余り触りたくない人はステラ
頻繁にドラグ調整をしたい人はイグジスト
そんな風に感じました。
名前こそオートマチックドラグですが、このリールのATDはマニュアルドラグだと思います.
当然、リール同士のひっぱりあいっこではなく、実際に使ってみて魚を掛けてみたときにどう感じるかはまた別だと思います。
ただ、ドラグは何の引きであれ出るべき時に出るものでしかないので、そんなに違いはないとも思います。
私がこのクラスのリールで5LBラインとかを使う場合は、フッキングで合わせ切れしない程度の強めの設定で使います。
強めのフッキングで切れなければ、相当なダメドラグでもない限りこのリールを使う様な魚に走られたからといってラインが切れることはないでしょう。
それでもこの'15 イグジストの場合は、そこに合わせるとジリジリ引かれたときにはドラグが作動してしまうと思うので、他の番組でもあったように魚を寄せるだけでドラグを出しながらハンドルを巻くといったことになるのかもしれません。
いろいろと良い様に書こうと試みてみましたが、どうやっても
個人的に、ステラのドラグの方が好みです。
という事実は隠せそうにありません。
私もUTDのリールを幾つか使っていますが、個人的にはこのATDよりはある意味普通のUTDの方が好みです。
ただ、このATDも魚とのやりとりが何気に楽しくなりそうではあります。
レバーブレーキのないリールはドラグに頼ってしまいがちですが、そこでも頼り切れずに頻繁に調整しないといけない的な意味で・・・
・・・
これだけではなんなので、部屋でクルクルしてみただけの他の感想も書いておきます。
まず巻き心地ですが、ヌメヌメなステラに比べてヌルヌルなイグジスト。
どちらも巻き心地はいいですが、巻きが軽いのは断然イグジストです。
巻き感度という面でも、おそらくイグジストの方が良いと思います。
ただ、引き抵抗がほとんどないようなものをゆっくり引く場合、ダブルハンドルを抜きにしてもステラの方がスムーズに引けると思います。
イグジストはローターの慣性が少ない分、手の無駄な動きがそのまま反映されそうです。
当然、それが良い場合もあります。
また、上のテストをしてみたところ、ラインのヨレが少なかったのもイグジストの方でした。
そこそこのテンションでラインを引っ張ってドラグを出してまた巻いて・・・というのを繰り返しましたが、ラインのヨレには結構な差がありました。
これは、巻いているラインの差かもしれません。
細かなところでは、スプールにラインの結び目を納められる窪みのあるイグジストが良いです。
スプールのライン留めにしても、使い勝手の悪いステラのライン留めより、イグジストのライン留めの方がスムーズに使えます。
ステラの方は太めのラインを留められるのかもしれませんが、このクラスで太めのラインを使う事なんて個人的にありません。
ドラグの音は、今回のイグジストはスプールも金属になったので、キンキンという音になりました。
スプールを持たずに回してスプールで音が響くようにすると、ステラというか音程は違うもののステラSWの音質に似ています。
・・・
正直、どちらも良いリールです。
2大メーカーのフラッグシップモデルなので当たり前ではありますが、ドラグにしても見た目にしても使い勝手にしても使う人の好み次第だと思います。
何となく纏まったところで、さようなら
■追記■
フィネスタイプではないATDについての個人的感想を書きました。
https://mru.txt-nifty.com/blog/2016/02/20160211-81fc.html
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